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朔と会う放課後が、待ち遠しいような、
嘘までついて行くのは間違っているんじゃないのか、
と、葛藤が続く。
授業が終わり、ホームルームで配られた進路希望の紙が更に、望の頭を悩ませた。
「のーぞむ。今日バイトないっしょ?カラオケ行こうよぉ!」
千佳が猫なで声で望の手を取って、愛眼の眼差しで見上げる。
「え…と…今日は…ちょっと…」
一気に不機嫌になる千佳は、
「どこいくの?」
ス、ストレート
「ん?ちょっと…用事が…」
睨んだ千佳の視線が突き刺さる。
「…イケメンと会うの?」
返事が出来ない望は、パチパチと数回まばたきを繰り返した。
その時、バスケットボールを持った健人が2人の横を通った。
相変わらず、千佳と健人はぎこちない感じで、望は頭を傾げていた。
「…健人。」
千佳が呼び止めると、健人は立ち止まって、2人を振り返った。
「望ってば、隠し事してんのよ?」
え…
目を細める健人は、千佳から望に視線を移すと、
「望、何、隠し事って。」
「え…」
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