nine.

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「…あの…」 「適当にやってて。私、店の準備あるから。」 まことは、パチンと電気スタンドをつけると、部屋がオレンジ色に染まった。 「あのっ」 「勝手にキッチン使っていいから。」 テキパキと邪魔な物を片付けながら、望に指示していく。 「あのっ!」 「えっ?あ、何?」 「…まことさんて…アイツの…彼女さんですか?」 目を丸くしたまことは、次の瞬間、豪快に笑い飛ばした。 「ハハハッ!!やぁだ、真面目な顔して聞くからーっ」 お腹を抱えて、笑うまことが不思議で、望は首を傾げる。 「彼女ねぇー。朔ちゃんには、彼女って相手、いーっぱいいると思うけど?」 「え…」 クスクス笑いながら、まことは望の顔を覗き込むと、 「朔ちゃんも悪い奴だねぇ。こぉんな、まだなーんにも知らないガキを客にしちゃうなんて。」 「客?」 「そ。だって、朔ちゃんはホストの客としかデートしないし、キスもしないし…」 まことは、固まったままでいる望の耳に顔を寄せると、 「それに、客としか寝ないし。」 意地悪そうな笑顔で、望の顔を見つめるまことは、「ま、私はそれ以前の問題だけど。」と付け加えて、扉のドアノブを回した。 「あ…でも1人だけいたかな。客じゃない“彼女”」 「…え…」 「これ以上聞きたいなら、下に来て、開店の準備手伝いな。」 まことはニヤっと笑うと、パタンと扉を閉めた。 .
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