nine.

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やめとけばいいのに と、頭の中で誰かが言っていた。 気付かないフリをして、望は鉄骨の階段を下り、誰もいないフロアを見渡した。 ガチャン 「あ、やっぱり来た。」 カウンターからグラスを手にまことが顔を出すと、ニヤニヤと口を歪ませながら、 「じゃあ、まずテーブル拭いてきて。」 投げられた布巾をなんとか受け取ると、近くのテーブルから布巾を滑らせ始めた。 「と言うかさー」 「え?」 「あんたは、朔ちゃんの何なの?」 グラスを布巾でキュッキュッと拭き上げながら、まことは望に鋭い視線を送る。 何なの…って… なんだろ。 「やっぱり、客なわけ?」 客… どちらかと…アイツが客? 「あんた、お嬢様なんだ。」 「はい?」 まことは、人の話しを聞かないでどんどん先に進んで行く、と言うのがどうやら特技らしい。 望の返事を待たずに、まことの話はどんどん完結していく。
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