nine.

15/29
前へ
/539ページ
次へ
「…なんでここに…」 朔は思い付いたようにまことを睨みつけると、 「相原お前…」 「違うわよっ偶然よ偶然っ!」 疑いの眼差しを向ける朔に、まことは慌てて弁解をしている。 「…黒木くん。」 嬉しそうに微笑む繭は、一歩近寄ると、 「…元気にしてた?」 朔は、フイっと視線をそらすと、階段を登り始めた。 「黒木くん?」 カンカンと階段を駆け上がってくる繭に、 「…元気だったよ。相原が心配することじゃない。」 朔はまことの腕を掴むと、再び階段を上がり出す。 扉のドアノブに手をかけると、 「会いたかったっ!黒木くん…。ずっと…会いたかった…。」 朔は一度も振り返らず、部屋へ入ると扉を閉めた。 .
/539ページ

最初のコメントを投稿しよう!

704人が本棚に入れています
本棚に追加