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「…fortune…」
桜の花びらが街灯に照らされて白く光ってヒラヒラと舞っている。
溜め息をつきながら、両手に額をつけてうつむく。
こんなに切なくなる理由は分かってる…
「誰かぁボクを連れ出して…」
どおしたらいいのか分からない…
何が正解なのか分からない…
「…そっと…この手を握ってぇ…
駆け出して…」
あの唯一“彼女”だったひとが気になる…
どうしてホストになったかの気になる…
私のことをどう思ってるのか…
気になる…
「…fortune…」
溜め息混じりに、唄を繰り返す。
ふと…
今なお聞こえてくるストリートミュージシャンの唄に目をやると、
輪になって聞いている人達を通り過ぎて、
こっちに向かってくる。
ゆっくり数段の階段を登り、
朔は、望の目の前に立つ。
「…なんで知ってる…」
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