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驚いた表情を浮かべる朔に、望は少し首を傾げ、
「あ…そういえば、教会で歌ってたよね?…知ってるの?」
朔は何も言わず、眉間に皺を寄せたまま望を見つめている。
その視線に耐えられなくなった望は、一気に喋り立てた。
「い、いいよねっ。あの曲っ。綺麗なメロディーだし…それに…なんか元気でた。」
欄干に両手をついて、桜並木を眺めながら、
「あの曲なんて言うのか、知ってる?」
振り返った望の目の前は真っ暗で、
「え……」
煙草の苦い香りと
柑橘系の香水の香り…
ドキドキしてる暇がなくて…
この状況についていけてなくて…
心臓…
止まってた…
私…抱きしめられてる…?
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