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フッと緩んだ朔の腕に気づき、望は顔を上げた。
望の肩に顔をうずめるゆようにしていた朔も顔を上げ、望の顔を覗き込んだ。
あまりに近い距離に、望は顔を反対に背けると、
「…わりぃ…」
朔の吐息が耳にかかる。
「あ、謝るくらいなら…はなしてっ」
声が震えてるのが分かる。
喋ったら、なんか…
色々な気持ちが…
零れて来そうで…
「…はなして…」
目を見つめたら、怒ってるような、苦しそうな顔をしてるから、あまり強く言えなくなった…
「…あんた…あったかい。」
「え?」
望の肩に腕を乗せたまま、顔を傾けて、赤面する望を見つめる。
少しずつ、二人の唇の距離が近づく。
周りの雑音は、ストリートミュージシャンが奏でる音楽に溶けてBGMになっていく。
「…お客だから?」
唇が触れるか触れないかの距離で、目に涙を溜めた望が朔を見つめた。
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