nine.

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フッと緩んだ朔の腕に気づき、望は顔を上げた。 望の肩に顔をうずめるゆようにしていた朔も顔を上げ、望の顔を覗き込んだ。 あまりに近い距離に、望は顔を反対に背けると、 「…わりぃ…」 朔の吐息が耳にかかる。 「あ、謝るくらいなら…はなしてっ」 声が震えてるのが分かる。 喋ったら、なんか… 色々な気持ちが… 零れて来そうで… 「…はなして…」 目を見つめたら、怒ってるような、苦しそうな顔をしてるから、あまり強く言えなくなった… 「…あんた…あったかい。」 「え?」 望の肩に腕を乗せたまま、顔を傾けて、赤面する望を見つめる。 少しずつ、二人の唇の距離が近づく。 周りの雑音は、ストリートミュージシャンが奏でる音楽に溶けてBGMになっていく。 「…お客だから?」 唇が触れるか触れないかの距離で、目に涙を溜めた望が朔を見つめた。
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