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「…もぅ!焦ったよぉ。あれ、ヤクザでしょう?」
去っていった彼らが完全に見えなくなってから、野上は話し出す。
「すみません…。」
「ここら辺、多いしねぇ、ヤクザ屋さん。」
野上は通りすがっていく人達に、巧みにティッシュを配りながらしみじみ言う。
夜になると、この先はいわゆる夜の繁華街。
キャバクラにクラブ、ホストクラブに、口じゃ言えないお店…
絡まれる事もしばしばだったが、とにかく時給がいいこのバイトは辞める訳にいかなかった。
質より量と言うことで…
望は一年ほど、この繁華街の入り口でティッシュを配り続けている。
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