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「…はぁー…さむっ。」
赤いジャケットを羽織って、降りてきた望はカゴを腕にかけ、
「…あ、れ?」
白いポケットティッシュの山の中に、赤い袋が2つ。
望は若干ビビリ気味にそれを摘んで、目の前で凝視すると、
「…ほっ…カイロ?」
ヌクヌクさん。カイロ。ミニ。
望はカゴを見てから、辺りをキョロキョロと見回した。
「え?なんで?」
自分の回りをクルクルと回っている望に、野上が声をかける。
「どうかした?」
「…あ、野上さんですか?コレ。」
ヌクヌクさん、カイロを一枚野上に差し出すと、
「わぁーっ気が利く!望ちゃんっ。4月だってのに、夜は寒いよねー。」
そう言って袋を破り、取り出したカイロを勢いよく振る野上を望は無言で見つめていた。
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