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one.
白く。
白く。
窓から月の明かりが差し込む。
ぼんやり、
白い煙りが漂う。
「…こっ…ここっ、教会だけど。」
煙草をくわえた男は面倒くさそうに、顔を上げた。
「たっ煙草っ。」
男は煙草を指で挟むと、目の前にかざし、
「……あぁ…。コレ。」
そう言うと再び口にくわえ、吸い込んだ煙りを興奮状態の女に吹きかけた。
「ゴッ…ゴホッ何すっ…」
気にする様子もなく、男は煙草をくわえては、薄暗い教会の空間に吐き出していた。
ようやく咳が治まった女が、
「何するのっ。」
男はその声は聞こえていないかのように、靴の裏で火を消すと、床に吸い殻を放った。
女は目を見開き、鼻息を荒くして、その吸い殻を拾うと、フンっと鼻を鳴らし踵を返した。
「…っつぅー…」
女は顔だけ振り返ると、もぞもぞと体を動かす男の背中をチラッと見てから、歩き出した。
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