one.

2/8
前へ
/539ページ
次へ
「…てぇなっ、くそっ。」 黒く変色した長い椅子に寝転がると、顔に腕を乗せ息を吐いた。 月明かりが男の顔を照らす。 フッと暗くなった影に、男は腕をどけ、目を開けた。 顔を横に向け、膨れっ面の女が、右手に持った木箱を男に差し出す。 黙ったまま、仰向けの男は木箱と女を交互に見た。 女は男が寝そべるベンチの横にガンッと木箱を置くと、スタスタと歩いて行き、一番前のベンチに腰掛けた。
/539ページ

最初のコメントを投稿しよう!

704人が本棚に入れています
本棚に追加