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「…てぇなっ、くそっ。」
黒く変色した長い椅子に寝転がると、顔に腕を乗せ息を吐いた。
月明かりが男の顔を照らす。
フッと暗くなった影に、男は腕をどけ、目を開けた。
顔を横に向け、膨れっ面の女が、右手に持った木箱を男に差し出す。
黙ったまま、仰向けの男は木箱と女を交互に見た。
女は男が寝そべるベンチの横にガンッと木箱を置くと、スタスタと歩いて行き、一番前のベンチに腰掛けた。
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