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雨が降り注ぐ・・・。
薄暗い夜空を見上げるように僕は倒れている。
身体の震えが止まらない。
雨の冷たさよりも、
背中を預けている瓦礫の冷たさのせいで、
ずっと身体の震えが止まらない・・・。
周辺の静けさに耳を澄ましながら、
僕は僅かに首を持ち上げて周囲を見回す。
そこにあるのは、
崩壊した館。
そして絶望と悲哀。
---瞳から涙が零れ出る。
誰もいない・・・。
誰も生きていない・・・。
聞こえるのはただ、
振り続ける雨の音。
首を持ち上げる力も無くなり、
頭を地面に軽く打ちつける。
痛みは無い・・・。
でも、だんだんと目が霞んでいく。
全てが夢ならよかったのに、
どうやらそうでもないみたいだ。
身体がもう、動かない。
動かせるのは、もう瞳だけ。
ふいに、
夜空の中に満月が映る。
ひどく悲しそうにも見える。
狂気じみているようにも見える。
なにも映してないようにも見える。
・・・急に意識が朦朧としてきた・・・。
「もしも・・・
もしも誰か一人でも助けることが出来たなら・・・。」
後悔の余り先程から涙が止まらない・・・。
「もし・・・やり直せるの・・・なら・・・。」
終焉を迎えたその後には、
夜空に輝く満月だけが怪しく輝いていた・・・。
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