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「・・・てよ!!
・・・・起きてよ!!!」
ガクガクと誰かが身体を揺さぶる。
「あれ・・・?
いつの間にか・・・寝てた?」
僕は辺りを見回して皆の顔を確認する。
「寝てた?
じゃないわよ!!
館を探してる途中で、
丁度開けた場所があったから少し休憩しよう。
周りは樹海で危ないから周辺の注意を怠るな。
って言った本人が爆睡してどうすんのよ!
」
この口うるさいのは「十六夜 紗月」。
保育園の頃から一緒の腐れ縁。
よく一緒に遊びに行くのだが、
何かと楓(妹)が邪魔をしてきて予定通りに遊びに行けたことは一度も無い。
「ちょっとぉぉぉ!!
あんまりくっつかないで下さい~~~!!!」
叫びながらも身体ごと紗月に飛び掛る。
「きゃあ!」
どすんっ!
と鈍い音を立てて2人とも地面に倒れる。
「ちょ、ちょっと楓~、
あんまりそういうことを外でしないでって言ってるでしょ?
紗月大丈夫?」
紗月の傍に近付き手を差し伸べる。
「私は大丈夫だよお兄ちゃん!!」
「それは知ってる!!」
「あれ?怖い夢でも見たの?
涙が出てるよ?」
楓が言った通り、
目元に手を当てると涙が手を濡らした。
「何でだろう。
何か凄く悲しい事があったような・・・。
でも、何も思い出せない。」
「夢だからしょうがないわよ。」
「大丈夫。
怖かったら私が一緒に傍にいてあげるよ~。」
考え耽っていた僕に2人が言葉を投げかける。
そうだね。
と言葉を返し、
僕は地図を取り出す。
「もうそろそろ着くはずなんだけどな~。」
「先に行った瑠奈ちゃんは大丈夫かしら?」
「瑠奈姉なら心配しなくていいよ~。
風花おば・・
風花お姉ちゃんが付いてるからね!!」
「「そうだね・・・。」」
二人は同じ事を言った。
葉月風花。
僕達のグループの中では唯一の年上で、
あらゆる物事に対して万能なお方である。
常に笑顔が絶えず優しい先輩であるが、
その外見からは裏腹に大胆な行動をする方である。
「とりあえず、
瑠奈がくれた地図を見た感じではもうすぐで目的地に着く筈だし、
そろそろ移動し始めようか。」
楓と紗月は、
は~い。と返事をし、
刹那と一緒に再び樹海の中を歩き始めた。
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