第一章~偶然~

5/19
7596人が本棚に入れています
本棚に追加
/459ページ
家に帰ってからの事を考えながら歩いていたらいつもの会社近くの駅に着いた。 定期をかざし、改札を抜け、最終電車に乗り込む。 今日が金曜日のせいか酔っ払いやなにやらで、いつもより込み合う車内に少しうんざりしながら外を向くように立った。 だけどそれがいけなかった・・・ 前よりも後ろをを守らないと・・・ 外の景色を見ていてもいつもどうりの街並みしか目に映らず、知らず知らずの内に今日何度目かのため息が漏れる。 家の最寄り駅までの道のりの3分の1が過ぎたかなーと思った時、足に当たる違和感。 太もも辺りに何かが当たっている様子。 後ろを振り向きたいが確信できるものはなく、私の勘違いで怒られでもしたら嫌だ。 気のせいだろうと、カバンか何かが足に触っているだけだと思うようにし、また外に意識を向ける。 足に違和感を感じ始めてから5分ほど経った時、モゾモゾとその違和感が動いた。 その動きは物ではなく、手だったのだと遅くも気がついた。 <ど、どうしよう・・・これは確実に手で触られてる・・よね?反応しちゃダメ、反応しちゃうと痴漢は喜ぶっていうし・・・。> 私が心の中で自問自答していると、抵抗しない私に気を良くしたのか今まで太ももを撫で回していた手をスッと上げ、お尻を触ってきた。 思いがけない男の行動に、怖さのあまりビクッと体が反応してしまった。
/459ページ

最初のコメントを投稿しよう!