第二十三章~頽廃~

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「着きました。」 竹内の静かな声。 「はぁ・・・」 またあの女に会うのかと思うとため息がこらえ切れない。 「終わり次第連絡する。」 「かしこまりました。」 早くこの話を終わらせるべく俺は店の扉を開く。 入った瞬間、主張するように香る彼女の香り。 あの独特な苦手な香り。 「お待たせしました。お話というのは?」 俺は彼女を見つけ、席に着くなり話を切り出す。 これはビジネスだ。 「いきなりですのね。」 と、笑う西条瑠璃子。 他の男から見ればその笑顔は魅力的なのだろうか? 「それがここに来た目的ですから。」 注文をとりに来た店員にすぐ帰るからと断る。 それが失礼なことだとは重々承知の上だ。 が、話す時間以外を共にしたくない。 「婚約解消を解消してください。」 予想していた言葉に俺は少し笑う。 心の中での話。 「無理です。」 俺の即答を予想していたのだろう。 彼女は不敵に笑う。 「恋人がいるからですか?」 「そうです。」 「では別れてください。」 彼女の言葉に俺はピクリと反応する。 「なぜ?」 自分が思っていたより大分感情が出てしまった。 「クスクス・・・・雅臣さんもそんな表情するんですね。」 のん気な言葉。 俺の言葉への返事ではない言葉。 イライラする。 まるで彼女のリズム。 「それが彼女のためじゃないですか?彼女が傷つく前に。」 「まるであなたの話どおりになるような言い方ですね。」 そう。 そんな感じ。 まるでそうなることを疑っていないような彼女の表情と言葉。 嫌な予感しかしない。
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