-序章-

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「あー、久しぶりに心地いい気分だ。」 学は木々が立ち並ぶ道を歩きながら独り言を呟いた。学は28歳、一流とは言い難い企業に入り、今年で5年目だ。 学はそれとなく勉強は出来たので、大学を出てすぐ職にありつけた。 この不況ですぐに職に就けたのは例えそれが一流企業でなくとも幸運だった。 「ん?こんな辺鄙な所に家か?」 学は脇道の向こうに見える建物を見つけた。 しかしよく見ると学の目に映ったそれはとても家と呼ぶには程遠かった。 今にも崩れそうな壁、そしてその壁には緑色の植物がまきつき、壁の色など殆ど確認出来なかった。 「どうせ暇していたところだ、覗いてみるか。」 学は大人がすれ違えるぐらいの道の真ん中を好奇心に身を任せ進んで行った。
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