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真っ暗な室内を目を凝らして見るが、外にいたときよりはまだ見えたものの、薄暗く、どこに何があるか分からなかった。
「ケータイ、ケータイ・・・」
学はジーンズのポケットからケータイを取り出し、カメラのライト機能で、辺りを照らした。
中は思っていた通り、かなり広かった。
だから家と呼んでもいいのか迷ったのだが。
しかし広さはあるのに家具や食べ物といった生活用品は皆無だった。
「予想通り、か。」
学はがっかりしたように、それでいて安心した様なため息をついた。
そんなときガサッ と入り口の方で物音がした。
「?!」
学はとっさに警戒しつつ後ろを向いたが、音の正体を見て警戒をといた。
入って来たのはまだ小学生ぐらいの子供だったからだ。
「お前、こんなところで何してるんだ?」
学は子供が嫌いだったので無意識に言葉が無愛想になってしまう。
「お前こそ俺の家で何をしている。」
学は自分より遥かに年下の子供に、お前、と言われ腹がたった。
「このガキめ・・・」
子供に聞こえないように呟いた、つもりだったが、
「ガキはお前だ。」
と切り返されてしまった。
その物言いにますます憤ったが、子供の言葉を思い出してこう言った。
「ここが家だと?笑わせるな。良く言ってもここは小屋か倉庫だろう。」
学は鼻で笑った。
「お前の目は節穴か?」
そう言って子供は奥へあるって行き、床をまさぐった。
「まぁ、お前の様な馬鹿には分からないだろうな。」
その子供は床を剥がし下に続く階段をあらわにした。学は馬鹿にされたことも忘れ、呆気に取られた。
「こんな展開漫画でしか見たことがない・・・。」
学が気を取られているうちに子供はさっさと下りて行ってしまった。
「気になるな。」
学は子供を追って階段を下りた。
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