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俺達が口論していたその時、春は丁度買い物に出ていて。
しつこく食い下がるセフレに辟易していた俺は、コイツが来て随分時間が経っていた事も、玄関の方から小さな物音がした事にも気付いていなかった。
だから。
『…わかった』
『あ?』
『最後にキスして。
そしたら律の事諦めるし、もう来ない』
だから物音に気付いたコイツが仕掛けた罠にも当然、気付く筈も無くて。
キスひとつで全部終わるなら安いものだとソイツを抱き寄せてくちびるを寄せたその時
「お客さん?
お茶入れる?」
買い物を終えて戻って来た春がその光景を目の当たりにしてどんな顔をしていたのか、見る事は出来なかった。
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