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さて。
邪魔者はいなくなったし、遊んでいた奴らとは全部手を切ったし。
これで漸く春にだけ集中出来ると満足してふぅ、と息を吐く。
「飯、なに?」
「中華で良いかな」
応、と答えてそのまま座って近くに置いてあった雑誌を手に取ろうとするのを止めて、キッチンに立って飯の仕度をしようとしていた春の隣に立った。
時間は残り少ない。
だから少しでも側にいたくて。
体の良くない春を気遣う意味も込めて。
過保護かも知れないけれど、心配なのだ。
本当ならばいつ何が起こるのか分からないのだから、一秒だって離れてはいたくない。
「直ぐ出来るから。
律は先に風呂でも入っててよ」
「俺も手伝う…」
「大丈夫」
けれど。
春が来てから家の事を任せっきりにしていたからなのか、それともそう言う性分なのか。
春は俺に手伝いをさせたがらない。
こうして何かしようかと言っても大概はなんでもひとりでさっとこなしてしまう。
まるで妻だ。
良く出来た妻。
と、言う訳で今回も。
あっという間に追い出されてしまった。
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