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でも嬉しかったんだ。
僕と一緒の時は律は僕にとろけるほど優しかったし。
合い鍵持ってるのも律にご飯作ってあげられるのも僕だけ。
そう言ってあの子の前でも褒めてくれたよね。
春の飯が1番だって。
今でも忘れられないよ。
あの子の悔しそうな顔。
それからだったね。
僕、有頂天になっちゃってさ。律の身の回りの事なんでもしだしたの。
でも泊まったのは両手で数えて指の方が余るくらい。
だって律が泊まって良いって言わなかったし。
僕も勝手に色々してる癖に、ソコは律に了解を取らなきゃ、なんて変な意地張ってさ。
「何時に帰る?」
良くそう聞かれたけど、その意味は深く考えなかった。
どうしてか、なんて。
考えなくてもわかるんだけど。
でも、見てない事は知らない事。
知らない事は起こってない事。
そうやって僕は考えるのを避けてたんだ。
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