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--瞬間、私は言葉を失った。
初心者が装備するにはあまりにも雄々しく、あまりにも荒々しい鋼の鎧。
左の腕にこさえた、鈍い光を放つ鋼鉄の盾には、力強き戦士を象徴する翼を広げた鷹の紋様。
腰にさげた鋼の剣は、鞘越しにもその切れ味と美しい刀身を想像させる。
視界が悪くなるのを防ぐためか、頭部には何も装備していない。
が、何に染まる事もない漆黒の前髪の間から見え隠れする、虎のような瞳と、鼻の頭を一閃する痛ましい傷痕が、いかなる魔物の攻撃も許さぬ威圧感を放っていた。
金属の擦れる渇いた音を絡ませ歩く『勇者』の前で、私は言葉を持たぬただの屍に成り下がっていた。
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