冒険の書1

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土下座する私をゴミクズでも見るような目をしながら、勇者先輩は剣を納めてくれやした。くぅーん。 「おい」 「ヒィッ」 突然頭上から低い声。 「この部屋にドラゴンはいないのか」 「はい?」 え?今この人なんて言った?ドラゴン?初心者用のダンジョンに?ドラゴン? 「い、いや、存じておりません。Dragon Ashのセカンドアルバムなら知り合いが持ってます」 「………」 勇者のにらみつけるの攻撃! 屍の防御が下がった! 「いやいやいや本当に知りませんよ!第一こんな初心者用のダンジョンに伝説のドラゴンがいるわけないじゃないですか!Dragon Ashのサードアルバムなら知り合いが持ってます!!」 「………そうか」 目の前の勇者さんはそう言うと、何か寂しげと言いますか、悔しげと言いますか…そんな表情であたりを見回しました。 「あ、ちなみにこの部屋の奥がボス部屋でして、一応回復ポイントがありますのでご利用していった方がよろしいかと。もちろん手数料は全てジャパネットが負担しますので」 私は立ち上がり、揉み手をしながら勇者の機嫌を取った。俺を笑うか。笑うがいい。  
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