きみがため まもるため

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` 『回復して何より!!。 さぁ、お館様は先程からお待ちだ―――。 どうした子供?何故そんなにびっくりした顔で見つめる……』 『アカメが大きな声を出しすぎです。』 大きな体と赤い目で、強く太い声でがなり立てる。 落ち着かない僕をやたら興味深く、まじまじと見下ろしてくるそのひと?。 と 双子のようにとてもよく似た姿をしたもう一人が?、深い青い目でアカメと呼ぶそのひと?の背中をしっぽで、なでる。 赤い目と 青い目の 種族が近いのか、姿形がジンさんにとても似てる。 体はおっきいけど……。 「……失礼いたします」 「し……失礼します」 開けられ促されるまま、襖の向こうに足を進めるコウヤさんと僕。 足を止め、正座するコウヤさん。 そして畏まる。 僕も慌てて倣(ナラ)った。 「失礼いたします。コウヤでございます。……ツバメ様をお連れいたしました」 スッと――音もなく開かれた襖。 風と 光に 頭を下げながら 目を細める僕。 「ツバメ君……」 頭上から聞き覚えのある声に つい。 弾けるように頭を上げて 襖を開けてくれたその人を視界に確認すると ほっと、すると同時に慌てて頭を下げる事を思い出す。 「よくきた。ツバメこちらに、私の前に来なさい。コウヤも此処に居なさい」 シノノメ様の落ち着いた声が響いた時。 「……ぇッ……」 コウヤさんが小さく驚きの声を上げた。 側にいた僕しか気付かないほどにちいさく。 でも本当に一瞬だけ。 「……失礼いたします」 スッと立ち上がり、 壁際。 女官長としてか、イサ様のほど近くに座る。 コウヤさんが何故そんなに驚いたのか、僕には解らない。 ただそんな事が頭に回らないほど 「ツバメ。此方において」 「はい!。……」 緊張していて、 ギクシャクしながら座る僕に。 「まだ、慣れないか?」 シノノメ様が笑って聞いたから。 かぁぁ―――。 顔が赤くなる僕。 「すっ!すいません」 皆に注目されることで、顔の赤さが引かなくて、縮こまった。 「よいよい。楽にせよ」 シノノメ様が朗らかに笑った。 「失礼いたします」 その声に振り向くと シロウが塗りの小箱を抱え室内に入ってきた。 `
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