きみがため まもるため

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「母親が産んだばかりの雌だけ選んで……『捕食』するから……だったな」 トーコの言葉に空気が凍る。 「捕食じゃと?……親が子を?」 イサが信じられないとばかりに呟く。 「生まれたばかりの幼体の雌は『新しい毒に耐性を持った抗体』を持つ。 また、代替わりの時期は出産を終えた『母親』を生まれたばかりの雌が『既存の抗体持ちとして捕食』することも確認されています。 他に質問は?。」 「何故『毒死』するかもしれないと思った。その意味を聞きたい」 発したのはアンジュ。 細めた水色の目が、外光をギラリッと弾(ハジ)いた。 はぁ~……。 箸先で掴んだ青菜のお浸しをはなすと、周りを見渡すグァ・バラ。 「……皆さん反応しすぎですよ。こわいですって」 ヤレヤレと、箸を膳の上に戻し、きちりっと正座し直した。 「シノノメ殿の方は治療ができる自信がありますが『あの子』はねぇ……九年……いや十年。久し振りに体を見ましたが、正直な所、何ともいえないのがホンネデしたし……まぁそれでも」 「じゃあ……何だ」 アンジュはグァ・バラの言葉を遮った。 「ツバメ君の治療を引き受けたのは『実験体としての興味』か!。それとも『恩を売って』過去のことを無しにとでも!!オマエのことだ『面白そう』!!とでも思ったか!!」 「アンジュ」 「ッ悔しいのです!!シノノメ殿。私は…ぁ『あの時』のツバメ君が、今も脳裏に焼き付いて!」 ギュッ―――と誰かを抱き締める様に。 自分の身を掻き抱いた。 「『あの女』と『この男』が……あの子は、耐えてそれでも容赦なく追い詰められて」 眉根を寄せ唇を戦慄(ワナナ)かせる。 「……『あの頃の傷』はまだ……残ったままで」 ギロッッとグァ・バラを睨む。 ビックッ。 動揺か。 グァ・バラの上体が小さくはねた。 「……『あの女』には立場上『制裁』は加えられない……だからツバメ君を護るために、余所者の私が唯一出来たあの子を守る方法『左門頭』を受けたのです。そすれば行方知れずになった『グァ・バラ』を捜しだして!!いずれ……」 ギリギリッ噛み締めた奥歯が鳴る。 「こんな事態じゃなければ、先程現れた瞬間八つ裂きにしてたわ!!」 「アンジュ」 シノノメの落ち着いた声が空間に静かに響く。
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