きみがため まもるため

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` 穏やかな午前の陽光 室内に降り注ぐ 庭先からの光の粒が 縁側と障子に ゆらゆら踊る。 僕は 指の隙間から滑り込んできた 言葉に 息を止めた。 思考が止まっている…… ただ、落ち着かせるため 息を吸い……吐く。 そして気付く 自分が 動揺している事に。 「……シラヌ!!。 我はその事は……!! シノノメ!!」 凍った静寂を打ち破らんと 立ち上がった イサ様の悲鳴が響く。 シノノメ様はイサ様に、ゆっくりと向き直る。 イサ様は ただ、ただ シノノメ様を見つめて 「知っておったのか!?」 無言のまま見つめるシノノメに 「この事をだから!!。 ……だから」 急に イサ様の頬に涙がこぼれた。 「我を、妻に選らばざるをえなかった……のか……?」 ギュッと 胸元を握り締め 「【神子】候補ならば院妃にはならない……ならば」 酷い動揺。 「我はカオルにヒドいことを……」 重い 痛々しい空気を破ったのは 「イサ。それは違う……」 シノノメ様の言葉に節々に 深い いたわりの色が見えた 途端に生まれた静けさに 長い間、互いの内面に影を落とし くすぶり続けた疑惑を さらけ出した 「……確かに」 シノノメ様は虚空をみあげ、 「幼い頃、私はカオルを……好きでした」 初めて認めたシノノメ様を前に 目を見開き 微動だにしないイサ様。 「大人になったら、共に歩みたい。 ささやかな……夢 でもね」 何かを思い出したのか苦笑する。 「いきなり振られました。 『貴方を真に思う者が居る。私ではない』って……」 「……え?」 初めて聞いたのか、イサ様はあぜんとする。 シノノメ様は 微笑みかける 「神子の話は知りませんでした。 しかし望んで……自分の意志で貴女を妻に選んだのです。 だから」 シノノメ様は立ち上がり 棒立ちのイサ様を 優しく 腕の中に包まれた。 「もう。許しましょう。 自分が放った 取り返しのつかないと嘆く言葉も 縛り付ける プライドも 本心じゃなかったでしょう。 カオルは解っていた。 貴女の事も 僕の事も 本心を出さないでいた私にも 非があります ……イサ。 愛しています。 誰よりも……」 .
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