きみがため まもるため

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` 一瞬 空気が凪いだ。 しかしトーコは 「……若い男?……誰だ!。名前は!!」 ツバメはその勢いに面食らいながら 「わッ!。わかりません。あ。 ……ただ」 「ただ?」 僕は一つの記憶を思い出した。 「かあさんはその人を……信頼していました その人も。 かあさんに親しげでした。 あの時も、僕や姉さんを抱きしめて…… まもっ……て?」 「ツバメ『あの時』とは……ツバメ?」 『ザン』 「―――ッ――バメ?」 ハッとした。 空白。 一瞬の反転 瞬く。僕。 「あの時とは?」 「あ。……何か……僕も姉さんもよくわからないことに、巻き込まれたときがあって……その時に」 脳裏に 血のにおいが よみがえる 目眩がするのをぐっと押さえた。 一瞬。 なにが現実か解らなくなった。 「まだ……思い出したのはコレぐらいです。 かあさんと姉さんは……何故 何か知っているんですか」 こめかみを揉みながら言うと。 「ツバメは……ここにくる前のことは、余り覚えてなかったんだったな」 突然そう言われ 頷く 「……先程、思い出すまで一番古い記憶が` 寒くて 痛くて 凍えそうな所で ただひたすら 誰かを待って……ああそうだ 『翁(オキナ)』ってひとが……迎えに来たんだ。 見えない 僕の手を引っ張って 『バス』に乗って…… 気持ち悪くなって…… 気がついたら『羽座間集落』の家にいた。 そして 連れてこられるままに…… この『里』に トーコ様。 僕は知りたいのです……」 トーコ様は顎に手を添え 思案。 そのまま数秒。 「今思えば…… 【ほうぐ】を持つ同士だから出来たのだろうが あの日……私の夢を通じて カオルは現れた」 トーコ様は虚空を見上げたまま 「私に頼んだ。ただ一言」 目を細め 「『しばらく子供を預かってほしい』 ……とね 後は『何故』と思うだろうが……聞くな」 「えっ……」 「ツバメは当事者だ。 だが これは『聞いていい話ではない』…… ただ言えるのは 間違いなく 『死んでいる』」 僕に感情の読めない。 ガラスのような目を向け 「それだけだ……」 .
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