京へ

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文久3年 夏 ―――――――――――― (ようやく着いた……) 真上から照り付ける太陽に、滴り落ちる汗を拭いながら少年は心の中でそう呟いた。 長旅であったのだろう。 大きめの風呂敷包を背負い笠を被った少年は、暑さにも負けず賑わう町の中を一人歩いていた。 周りを見渡してみても、比較的小柄な容姿の少年の腰には、些か似つかわしくない、大小の刀が差さっている。
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