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ぴたっと空間が止まる。
先に動いたのは遊女。
沖田の笑顔に頬を染めながらも、再び歩み寄り、その腕に寄り掛かる。
「沖田はん、冗談は後に取っておいておくれやす……」
「えっと、冗談ではないですよ?
元々、そのつもりは無くて……、紛らわしい事してすみません」
困ったように沖田は笑い、遊女を優しく自身の腕から離す。
遊女の顔に、サーッと焦りの色が浮かび上がった。
「い、いやどすっ。
沖田はん、うち何でもしますえ?」
慌てて抱き付く遊女。
「…………ありがとうございます」
力強く抱き付いている遊女の肌を、肩から首筋へ、手を滑らかに滑らせると、頬に添え優しく微笑む。
「また来た際に……。
今夜は失礼しますね」
沖田の行動と色のある笑みに、一気に顔を真っ赤に染め上げた遊女は、力の抜けたようにその場に座り込んだ。
「……お待ちしてますえ……」
――
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