プロローグ -1-

2/9
121人が本棚に入れています
本棚に追加
/291ページ
  その日は半ドン授業で、部活に入っていない俺は昼間の駅のホームに立っていた。 朝のラッシュ時と比べ、人影もまばらなホームは驚く程静かで、通過して行く貨物列車の音がひどく目立つ。 快速電車の到着まであと二分。 その時、ホームへ続く階段を下りてくる足音があった。 足取りのおぼつかないその中年男に、思わず眉を寄せる。 真っ昼間から酔っ払いかよ。 くたびれた中年男はホームをふらふらと歩く。 その場にいた人間は、皆一様に顔をしかめた。 ……たった一人を除いて。  
/291ページ

最初のコメントを投稿しよう!