誘惑

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佐伯は一瞬黙り込むと、俺から離れて立ち上がった。 「…佐伯?」 「俺、とりあえず帰ります!」 「は?」 いきなりの宣言に、千晴は素っ頓狂な声を上げた。 「帰るって…泊まってかないのかよ。もう終電ないぞ」 ちなみにバスもない筈。 「お言葉は嬉しいですけど…何かあってからじゃ困りますから」 何かあってから? 「…何をするんだお前は」 千晴は後輩を睨む。 佐伯は先輩の鋭い視線に、たじろいだ。 「な、何もしません!!」 「よし。なら問題ない。シャワー浴びて寝ろ」 半ば強引に佐伯をバスルームに押しやり、タオルを置いてドアを閉めた。 .
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