*プロローグ*

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桜舞う4月。 君に出逢った。 顔は笑顔なのに 瞳の奥は 寂しそうな色をしてたのを はっきりとおぼえてる。 きっと 君の不思議な表情に 惹かれたのかもしれない。 教室で君は いつも1人だった。 寂しそうでも 無表情でもなく 安心してるような 表情をしてたね。 まるで 『友達にならないでくれて ありがとう。』 と言ってるみたいに。 君と友達になれたのは その頃の自分にとって 最高のプレゼントだった。 でも 埋められない隙間を 感じてた。 その隙間は そう簡単には 埋まらなかった。 だから 君に全てを伝えようと思った。 すると君は 全てを話してくれたね。 その時 気づいた。 君の心には 深い闇があると。 他の人には 言えないほどの 闇をかかえてた。 君の話を聞いた 俺にむかって 君は こう言った。 『ゴメンね。』 その時 決めたんだ。 君の心にある闇を全部 受け止める。 君の心にある闇を 照らしてみせる。 そう決めたんだ。 今の俺は 君がいなければ いない。 君がいるだけで 教室も 特別な場所になった。 君と話すだけで どんな一瞬も 愛しく思えた。 もっと 知りたくて…… もっと 側にいたくて…… そう思ったのは 君が初めてだった。 時々みせる 笑顔が忘れられなくて 悲しそうな顔をすると 不安になった。 抱きしめたくなった。 君がいたから 俺がいる。 だから 今度は俺が君を 明るい未来へ 導いてみせるよ。 あの日 2人の間を流れた 爽やかな桜風。 出逢いを そして 守りたいと思えるものを ありがとう。 2人を 出逢わせてくれて ありがとう。
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