逃走劇の始まり

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「アマルタ、くれぐれも逃げるなんて事は考えるなよ。お前はどのみち明日で最後なのだからな」 『逃げる訳ないだろう。逃げたって君達追いかけてくるじゃない…それより、今日は空がとても綺麗だ』 「…あぁ。」 『次に生まれ変わる時は…この世界じゃないどこかがいいな…』 「…」 『それより、お手洗い行きたいんだけど』 「逃げるんじゃないぞ」 『バカだね君は。さっき言った事もう忘れたの?僕は逃げない。逃げたって君達が追いかけてくるからね。』 「10分以内にしろよ、入口付近で待ってる。」 『あぁ』 本当…警察って面倒だ 逃げな逃げるなって 逃げる訳ないじゃないか 運命からは逃れられない 『戻るか…』 「ニャー」 …猫? どこかで見た事あるような… 首輪もついて…ッ! 『…コーリス?』 「ニャー」 そこに居た猫は 家で飼っていた【コーリス】 色はグレーですらっとした猫 『会いに来てくれたのかい?こんな死刑囚の僕に』 「違う。助けにきた」 『…!君、喋った!?』 「あぁ。俺以外に誰が喋るんだ?」 ダメだ。僕はとうとう 幻覚を見てしまうくらい 追い詰められたようだ そりゃそうだよな。明日死ぬんだもん 「幻覚じゃない。それに早くしないと外に居る警護ってのが入ってくるぜ?」 『君が僕を助けるだって?僕は逃げたってどのみち死ぬ。それに…猫に何ができるのかな?大体さ、ここ入口と小窓くらいしか出られる所はないのに…どうやって脱出するわけ?正義の猫さん。』 「…確かに俺もこのままの姿じゃ何もできないな」 このまま? そう思っていると 猫は光に包まれ 人間の男姿に変わっていた。 「…これで文句ない?」 『君…考えて行動してるの?ここ女子トイレだよ。』 「女装するから問題ない」 『…そうかい』
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