財布

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A   上手から下手に移動している。途中で財布を落とす。 B   それを見つける。拾う。財布の中身を確認する。しかし中身はほとんど入っていなかった。がっかりする。     「もしもし、そこの方。」 A   気づかない。 B   「おい、ちょっと!」     肩を叩く。 A   やっと気づく。Bを凝視する。うさんくさそうなものを見るような目で見たかと思うと、Bににらみつけられおびえる。     「な、なんですか?」 B   「これ。あんた、おとしたろ。」     財布を見せる。 A   財布を見る。はっとなり、ポケットの中を確認する。無いことに気づく。Bに疑いのまなざしを向ける。     「その財布…」 B   「あんたが落としたんですよ。私は拾っただけだ。」 A   「本当ですか?」 B   「本当だよ。」 A   「中身、取ってないですよね?」 B   「とってねえよ。」 A   「本当ですか?」 B   「本当だよ。それに、誰が2000円しか入ってない財布から金を盗むんだよ。」 A   「それもそうですね。どうも、ありがとうございました。」     財布を受け取る。そのまま去っていこうとする。そして、はた、と気づく。 B   ため息をつきながら逆方向に去っていこうとする。 A   「なんで私の財布の中身を知っているんですか。」 B   しまった、と体の動きが止まる。 A   「見たんですか?」 B   動かない。 A   「見たんですね?」 B   動かない。 A   「私の…嫁の写真も見たんですね!」 B   「それは見てない!」 終わり
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