こころのやみ

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医者:で、島田さんは個性がないって悩んでるということで、歯医者の私が人肌脱いだということです。 勇者:待てッ!!個性が欲しいっていう理由で世界を滅ぼそうと思ったのかよッ!? 医者:いやいや、それは後ですよ。 勇者:後!?じゃ、何? 医者:牙をつけてみたんですよ。島田さんの歯に。 勇者:この、魔王の禍々しい顔つきもお前の仕業かよッ!! 医者:で、遊び心で、角も一緒にね。 勇者:何してんだよッ!?そんな個性のつけ方あるかよッ!! 医者:いや、島田さんも、それには大喜びして帰ったんですよ。 勇者:それで満足したのかッ!? 医者:それから、数日後ですね。また島田さんが通院して来たんですよ。で、言うわけですよ    「何だか、最近、やけに人の視線を感じるようになった。僕、おかしくなっちゃったのかなあ?」    って 勇者:容姿がねッ!!容姿がおかしくなっちゃったねッ!!そりゃあ、周りからじろじろ見られるっつーの!! 医者:電車の中でも、会社の中でも、人の視線が異常に気になる。    そんな原因不明の心の病に、島田さんは苦しんだ。 勇者:原因は分かるだろ!!    っていうか、こいつ、こんな姿でスーツ着て、会社行って仕事してたのか……。滑稽な……。 医者:こんなこともあったらしい。会社の上司に理不尽に怒られ、    腹立たしい気持ちを胸に島田さんは頭を下げた。    そして顔を上げてみると、そこには顔面血だらけになった上司の顔が……。    島田さんの願望が幻影となって目の前に現れたんだ。 勇者:頭下げたとき、角でガッサリ引っかいたんだよ!! 医者:それだけじゃない。急に、ペッと吐いたタンに血が混じるようになった。 勇者:慣れない牙で、口の中切ってるだけじゃないのか!?
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