勇者バイト君

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勇:すみませーん、バイトの面接で来たんですけど。 店:あ、はい、ではこちらに。あ、どうぞどうぞ座って下さい。 勇:あ、すみません。 店:では、あのー。履歴書の方、お願い出来ますか? 勇:あ、はい。これです。 店:あ、すみません。(履歴書を見て)ふーーーん。前はアレですか?勇者やってたんですか? 勇:あ、はい。あ、でも一応、勇者は完全にやめたわけではないんですけど、仕事が全然ないんで。 店:あのねー。ウチはあんまり勇者の方は……正直な話……あんまり……。 勇:お願いします!雇ってください!お願いします! 店:確かに、今は勇者の再就職先不足が問題になってて、大変なのは分かるけどさ。 勇:(土下座して)お願いします! 店:わかった!わかったよ!勇者ってだけで門前払いってのもかわいそうだし、ちゃんと面接やるから。 勇:ありがとうございます! 店:でも雇うって決めたわけじゃないからね。でー、今履歴書の経歴のとこ見てるんだけどね?高校中退なんだ。 勇:あのー、はい……ちょうどそのとき、魔王を倒しに出掛けてたんで。単位や出席日数が足りなくて 店:え?でも勇者休学ってあるでしょ?ちゃんと事前に学校側に届ければ、後で魔王の首を校長に持ってけば、なんとかしてくれる奴。 勇:校長に魔王の首は臭そうだから持ってくるなって言われて。 店:ホントに?問題起こして学校辞めて、そのままブラブラと勇者やる奴とか多いじゃない? 勇:ちっちがいますよ!あんな奴らと一緒にしないで下さい! 店:分かったよ!落ち着いて。あと……あっ!これマズイよー。魔王の手下になってた時期あるじゃない? 勇:違います!操られててたんですよ! 店:でもねー、魔王の手下を雇うわけには… 勇:心の闇につけこまれたんですよ! 店:心に闇があるのは困るよ! 勇:人は誰だって心に闇を持ってるんだ!だからこそ人は強くなれるんだ! 店:うーーーん、そんなもんかねー。じゃあそれはいいとして、ほんとに前科が多いねー。 勇:あ、すみません。勇者なもんで。
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