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老け顔が言った。
「子供じゃ、採用出来ない。悪いが他を当たってもらえないか?それで、金が用意出来たらドレスでも授けてやろう」
少年は黙った。大人しくした所で、面長は男児の全身をボールを扱うように店外へ放り投げた。
通行量が無いに等しい公道に、運悪くも二台のマイティリコナービークルが、結婚関連店舗前を暴走してきたのだった。
ビークルコントロールのコテで、巧妙なテクニックが優れている為に、飛び出した子供の影を撥ねることなかった。
ビークルシートの遊び部分に、小さな身体を着地させたから、無傷で済んだ。生命に別状はなかった。
少年は気を失っていたのだった。
MRVドライバーの一人が啖呵切って店員を呼び出した。
「おいっ、そこの店員こっちまで来てくれ」
酷い絶叫だからなのか、面長の方は言われるがまま、若いドライバーの所に接近した。
「あんたなのか?小僧を車道に押しとばしたのは」
「あの、申し訳ございませんが、仰っている事の内容がご理解致しかねます」
「しらを切るたぁ、いい根性してるな」言いつつ襟首を掴みながら「ええ!!」と絶叫しだした。
「く、苦しい~。は、はな、放しなさい」
悶える面長。そのドライバーは、疲れたのか知らないが、一旦襟元から手を放した。
「ふう……キツく締め出すなんて乱暴な」
「子供を放り投げたヤツがよく言う。さあ、何があったか詳しく吐きな」
機転よく聞き込み調査してみた。
面長は素知らぬ顔で、善良ぶった態度で応答してみた。
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