5人が本棚に入れています
本棚に追加
――季節は夏が始まり、その真っ只中。
最近は、地球温暖化と騒がれ、この時期でもかなり暑い。
熱気に溢れた道を自動車が通過している。
外を歩く人たちもみな薄手の服を着ていて、額からは汗を流している。
そんな中、下は七分丈のデニムを、上は半そでという、いかにも夏を象徴するかのような服装の少年が、歩道を自転車で通過していた。
年齢は、中学生くらいだろうか?
まだ幼さが見てとれる。
今は、坂を上っているため、額や腕からかなりの汗を流していた。
近くにいれば、息遣いが聞こえてきそうな様子で自転車をこいでいる。
ようやく坂を上り終えると、少し休憩し、息を整える。
そしてまた自転車をこぎ始めた。
この少年はどこを目指しているのだろうか?
そして、ようやく目的の場所に到達したらしい。
少年が自転車を止めたのは、川原の上にある土手の道脇。
少年は誰かを待っているのか。
一人でにつぶやいた。
「まだ来てないみたいだな」
そういうと少年は川原を見つめた。
この川原は中流にあたる部分で、川幅は大体100m以上はあるだろうか?
流れはそれほど急でもない。
静かに流れている。
少年はまだ待ち人が来ないのを確認すると、土手の端に腰を下ろした。
最初のコメントを投稿しよう!