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「待たせたな」
そう少年に声をかけた人物を少年は
「遅いぞ、達也」
そう呼んだ。達也と呼ばれた少年が答える。
「陣がいつも早すぎるんだよ」
達也は少年を陣と呼んだ。
達也は見た目は陣とさほど変わらないが、少し大人びた風貌をしている。
達也の本名は、久山達也。
一方、陣の本名は、輝谷陣。
二人とも14歳の中学二年生だ。
「で、なんでオレを呼んだんだ?」
「まあそう急かすなって、とりあえず俺についてきてくれ」
そういうと達也は土手を降り、川原の砂利の上を歩き始める。
しかし、陣はすぐについて行かなかった。
この感じ・・・
いやな予感しかしないぞ・・・
陣は直観がそう告げていると、なかなか踏み出せずにいた。
このままついていけば、今までの二の舞だと陣の直観が告げているのだ。
こういうときの人間の直観はすごいと思う。
危険を感じるとその先に必ずといっていいほど的中するものだ。
野生の勘というべきか。
陣は今、まさにそれと同じものを感じていた。
そんな陣を見て達也が声をかける。
「じーん、なにしてんだよー」
そんな達也を見て陣は、少しいらっとした。
お前を信用できるかっての・・・
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