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だが、既にここに来た時点で、陣は腹をくくっている。
次にふざけたことだったら、文句言ってやる。
そう意気込みを入れて陣は今日ここへきていたのだ。
「今、行くっての」
そう返事をして、陣は土手を駆け下りる。
そして達也のいる場所まで駆け足で追いついた。
その間、達也は待ってくれたようだ。
そして二人は並んで歩きだす。
少し達也が前にいるのは道がわからない陣が下がっているからだ。
陣は達也に聞いた。
「なあ、どこいくんだ?ここ川しかないだろ?」
「まあまあ、詮索はそのくらいにして、ついてくればわかるから」
そういって軽く受け流される。
しかたなく陣は黙ってついていくことにした。
しばらく歩いていると、達也が後ろにいる陣に背を向けたままこう言った。
「陣。何を見ても決して驚かないと誓ってくれ」
なにをいきなり?
と陣は思ったがあえて口にしない。
黙って聞いていると、達也が再び言った。
「そして誰にも言わないと誓ってくれ」
「何言ってるんだ?」
いつもと違う達也の様子に驚く。
そんな陣のことを感じ取ってか
達也は本当に小さな声で言った。
「人間の手におえる代物には思えないんだ・・・」
え?と陣は聞き返すが返答はなかった。
そして達也は橋の下で止まり、それを支える柱の方を向き言った。
「ここが目的地だ」
ここは何にもないただの柱。
何があるっていうんだ?
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