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オースター孤児院のテラスにあるテーブル席に、リンダはいた。
コーヒーを運んでくれた娘を手で追い払い、頬杖をついて、対面に座る大男に眼をやる。
太く逞しい手足。
しなやかさを失うことなく、鋼のように鍛え上げられた肉体。
初老の域に差し掛かりつつあるはずだが、衰えは感じられなかった。
むしろ、若かりし頃よりも、一回り体が大きくなったのではないか。
ただし、頭髪の半分ほどは白くなっていた。
髭は、理由がない限りは三日に一度だけ剃る。
それが、この男の昔からの習慣だった。
無精髭の長さからして、今日は二日目か。
髭にも白いものが見えて、リンダはにやりとした。
「なんだかんだ言って、あんたも随分老けたねえ、ストラーム」
男、ストラームは、カップから口を離し苦笑した。
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