導く者

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ぞわ、と鳥肌が立つ。 「うおぅ!? なんだ!? カリッとした見た目なのに、ネバッとした触感!」 「いちいちうるさいのよっ! ほらほら、食べて!」 「くぅぅ……!」 逃げ場はないのか。 視線を走らす。 部屋の隅で、壁と同化しようとしているシーパル。 椅子で、こくりこくりとしているデリフィス。 異様なまでに、デリフィスは寝たふりが上手い。 完璧な狸寝入り。 そう。腹が立つくらい完璧な。 斬新な芋虫を、デリフィスの鼻の穴に入れてみた。 「……!?」 椅子ごとひっくり返るデリフィス。 ルーアは、額を拭った。 「ふぅ……。やはり、威力はこれまで通りか……」 鼻と口の周りを乱暴に掌で拭い、ゆらり……とデリフィスが立ち上がった。
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