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俺が壁に登って暫くすると、屋敷の裏庭から銃声が聞こえてきた。
「あいつもうまくやってるみてぇだな……よし!俺も行くか!」
俺は、塀の上の装飾の影に隠れ、敷地内の守衛が裏門の方へと向かったのを見ると、遠くの屋敷の窓から見える屋敷の中に誰もいないことを確認すると、屋上に向けて思いっきり跳んだ。
塀から屋敷までは約50メートル……普通の手段では誰も渡ることなどできやしない。だから……
「『突風』!」
俺は突風を吹かせ、ローブを広げてその風を体全体で受けると、その勢いで空高く飛び、空中で回転しながら屋上へと飛び移った。
ウルスラは……まだ派手にやっているようだ。
幾度となく銃声が聞こえ、ウルスラが隠し持っていたと思われる、煙玉の白い煙が周囲に立ちこめている。
と思っていたその時、煙の中からウルスラが現れ、俺の隣へと駆け寄ってきた。
「レイアスさん、大丈夫ですか?」
「あぁ。お前も無事で何よりだ」
俺はウルスラに微笑みかけると、真面目な顔をしてその場にかがみこんだ。
「状況はどうですか?」
「お前の煙玉や麻酔弾で守衛共は混乱状態だ……よくやった」
俺はウルスラの頭を撫でてやる。
「ふみゅ~…………って、やめてください!」
ウルスラは嬉しそうな顔をしていたが、顔を赤くして、俺の手を払いのけた。
「ふっ……じゃあ、中庭を一気に制圧するぞ!」
「は、はい!」
俺が2丁拳銃を構えて屋根から飛び降りると、ウルスラは麻酔弾の装填されたスナイパーライフルを取り出して狙撃の体勢に入った。
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