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【2】
ドクン…ドクン…
その音は、懐かしい音。一定のリズムを刻み込んで起きてと囁く。
「…い、生きてる。」
彼の目の前には、青空が広がっていて白い雲も漂っていた。
彼は口の中にたまった息を吐く。鉄の錆び付いた臭いが、口から体中から漂っている。
そして、ゆっくりと起き上がる。近くにあった刀を手にする。刃こぼれ一つしていない。その刀の刃を懐紙で拭い、鞘に納めた。
「痛っ…。」
痛みはあるけど、血は流れていない。血が固まり新たな血が流れ出ないように塞いでいた。
ヨイショと立ち上がる。グラリとよろめいたが、刀を杖にしてゆっくりまた立ち上がる。
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