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歩き始めるまで数分間、じっとしていた。
動けなかった。
それもそのはず、大量に血を失ったのだから。
一歩二歩…ゆっくり歩を進める。
仕官とかの話ではない。ひとまず屋敷に戻らなくてはいけない…そう思った。
たどり着いたのが、夕方頃。
屋敷から悲鳴があがる。妹の悲鳴である。
「ギャー!!兄ちゃんしっかり!
き、傷だらけじゃない!!
兄ちゃんしっかりしてね。今、お医者さん呼んでくるから!」
慌てふためいて妹は屋敷を飛び出していく。
兄・弦こと弦兵衛は、慌てふためいて屋敷から飛び出して行った、妹の姿を見て微笑んでいた。
「良かった。アイツは変わらないようだな。」
そう思った弦兵衛はホッとしていた。
居間に寝込んで待つことにした。
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