死んだ魂

20/41
前へ
/41ページ
次へ
歩き始めるまで数分間、じっとしていた。 動けなかった。 それもそのはず、大量に血を失ったのだから。 一歩二歩…ゆっくり歩を進める。 仕官とかの話ではない。ひとまず屋敷に戻らなくてはいけない…そう思った。 たどり着いたのが、夕方頃。 屋敷から悲鳴があがる。妹の悲鳴である。 「ギャー!!兄ちゃんしっかり! き、傷だらけじゃない!! 兄ちゃんしっかりしてね。今、お医者さん呼んでくるから!」 慌てふためいて妹は屋敷を飛び出していく。 兄・弦こと弦兵衛は、慌てふためいて屋敷から飛び出して行った、妹の姿を見て微笑んでいた。 「良かった。アイツは変わらないようだな。」 そう思った弦兵衛はホッとしていた。 居間に寝込んで待つことにした。
/41ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加