14人が本棚に入れています
本棚に追加
妹・深琴はおてんばで、自分より力が強かった。今では、女の子らしくなってきてはいるものの…まだまだやんちゃである。
この深琴は、母を知らない。深琴を産んだ後、流行病で亡くなったからだ。
それ故、母の愛は知らない。男だけの家庭で育てられた妹のことを考えると、心が痛くなる。
成瀬家は分家であり、本家を支えながら生活してきた。戦に出たり、農作業をしたりと忙しかったが幸せだった。
父と母が笑い、兄もつられて笑っていた。
こっちにおいで、優しい声音で呼んで父が自分を抱っこした。あの時は本当に良かった。
そう思えてならない。
今は妹しか残っていないのだから。
最初のコメントを投稿しよう!