14人が本棚に入れています
本棚に追加
「兄ちゃん……何があったの……兄ちゃんにもしものことがあったら、私どうやって生きていけばいいの。」
「…深琴、大丈夫だ。
医者がこういっているが、死なないよ。だから涙ぐむのはやめてくれ。気持ちは分かるから。」
うんと言った後、深琴は微笑んでいた。
それでいいんだ。
弦兵衛も微笑んでいた。
それから数分経ち、医者は首を傾げながら、治療を終えた。
「不思議な方ですね…
この傷なら致命傷になっていたはずなのに……運が強いのでしょうか、それとも、神様に守ってもらっていたのでしょうかね。お大事になさって下さい。」
その言葉を残し、医者は帰っていく。
「兄ちゃん、父上が守ってくれたのかな?それとも蔵兄ちゃんが守ってくれたのかな?」
妹は、3つ並んでいる位牌の前に行き、手を合わせ拝む。
リンの音が部屋中に響きわたる。
最初のコメントを投稿しよう!