死んだ魂

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「み、深琴…もし、蔵之介兄上が生きていて、俺がいなくなっていたら―」 妹は、位牌のある仏壇から少し距離がある、布団に寝ている自分のところまで近づいてきた。 「馬鹿!蔵兄ちゃんも弦兄ちゃんも…好きなの!どちらもいなくなってほしくない!」 背中を丸めて、えんえんと泣き始めた。 気まずい雰囲気だった。 「…迷惑かけたのに、こんなこと口走ったから、父上に怒られるだろうし…妹をもっと大事にしろって言われるだろうよ。深琴、ゴメン。」 その言葉が部屋中に響きわたる。 泣いていた深琴は、布団の中にいる弦兵衛に覆い被さって、ギュッと布団越しに抱きついた。
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