act1

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相手に背を向け、帯をたんすへしまっていると後ろに気配を感じた。 振り向くと、彼の胸板とぶつかるくらい彼は私に近い距離にいた。 「な、に…」 思わず声が掠れてしまった。これではまるで相手を怖がっているようではないか。 「別に?」 ニヤリと口角をあげ、彼は言った。 「なんでもないなら離れて。近いっ!」 ぐいっと相手の肩を押して逃げようとするが、相手はやはり男でびくともしない。 また彼はくっくっと笑う。 キッと睨みつけると、今度はあの胡散臭い笑顔でにっこり笑う。 これだ。 この張り付けたような笑顔が昔から嫌いなんだ。 なにを考えているのかまったくわからない。 そして、人を寄せつけない雰囲気をかもしだす。 まるで心の奥底を悟らせないように……。 「那智からなに貰ったん?」 「なんだっていいでしょう。」 どうせ誕生日を忘れたあなたには関係ない。 「おおかた、くしとかんざしやろ?」 彼はぴたりと言い当てた。思わず相手の顔をまじまじと見てしまった。 なぜわかったんだろう。 貰ってから、まだ誰にも言ってないのに。 .
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