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ある夏の夜。
「お前、また何かやっただろ」
月明かりが差し込む一室から、溜息混じりの男声とも女声ともとれない、中性的な声が響いた。
古い建物の様な木造の一室からは、大小二つの影が浮かぶ。
「えぇ、別にボクは何もしてないよ?」
クツクツという笑い声。
幼い少年を彷彿とさせる、鈴の鳴るような明るい声だ。
小さい影が、軽く上下に揺れた。
「嘘こけ。何でか知らんが、また時空が歪んでいたぞ。
…ま、大方どっかの誰かさんが、そんなことをしていったんだろうけどさ」
はぁ。と大きな影の主は大きな溜息をついた。
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