交渉

3/7

144人が本棚に入れています
本棚に追加
/33ページ
何故、あの新撰組隊士[沖田総司]と、文字通り『肩を並べて』座っているのか。 魅龍は、彼の父親が部屋に現れるまでの時間潰しに、現在に至るまでの経緯を回想してみた。 …あの後だ。 あの後、俺は到底こんなSF臭のする事態なんぞ認めたくはないが、『タイムスリップ』をしてきた総司に、家に泊めてくれとせがまれたんだ。 那由多家の飼い犬虎徹。 大の犬好き(あの後発覚)の沖田は、そのボーダーコリーに釣られて魅龍の前に姿を現したらしい。 ―「いやぁ、その犬」「虎徹だ」 「…その虎徹があまりに可愛かったもんで、ずっと見てたんだよ。 そしたら警戒された挙句に君にも見付かっちゃったもんだからさ。 どうせ今晩泊まる先が無かったし」― …そういうことなのだ。 しかも総司は悪びれもしない笑顔で答えやがった。 ただ犬に釣られて現れた総司。 あわよくば、飼い主である魅龍の家に泊めてもらおうと考えていたらしい。
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!

144人が本棚に入れています
本棚に追加