序章

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大きな影の主は、長年、小さな影の主の『悪戯』に悩まされてきた。 しかし、常習化した悪戯に『またやったのか…』とただ呆れるだけで、最早窘める気すら起きない。 最終的に他人様に大きな迷惑を掛けていないのだから良いか。と割り切り、小さな影の主が悪戯をする度に、ただ溜息をつくだけである。 「ほらほら[ツクモ]、溜息ばっかついてると、幸せ逃げるよ?」 大きな影の主の心境なんざいざ知らず、小さな影の主はケラケラと声を上げて笑い出した。 『ツクモ』と呼ばれた大きな影の主は、小さな影の主の言動に、更に溜息を重ねた。 「誰のせいだと思ってるんだよ[ワタリ]。 お前今度は、[誰]を呼んだんだ?」 無邪気過ぎなのも困り者である。
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